新国立劇場オペラ研修所の研修公演(試演会じゃなくちゃんとやる公演)見に行ってきました。
今回フランス革命独裁期の宗教劇とゆーことで、覚悟して観に行ったけどやっぱり宗教劇って暗いし山場とかにかけがちなんだよね(当たり前ですが・笑)
独裁期なんで、当然みんなギロチンで切られて終わるわけです。
一、二幕が連続して一時間半上演され、20分休憩挟んで三幕40分、という構成。
暗い一二幕を連続してやるので、疲れてしまってちょっとうとうとしました。
民生委員が入ってきたりするところは目が覚めるんですけどね(笑)
でも一二幕連続させるのは、客を帰らせないようにするために仕方ないですね。
音楽が素晴らしかったのと、照明を使った演出が非常に私好みでした。
歌や演技も悪くなかった。
イマジネーションを掻き立てられて、かなり好きですが、悲劇、特に宗教劇を見慣れない人にはつまらなく感じるだろうこともありあり感じる(笑)
日本人、ハッピーエンド以外を観たことがない人が多い上に、宗教とか革命とか、身近にないですからね……。
初めて観るオペラとしては(他で宗教劇を見慣れていなければ)ちょっとお勧めできません。
マザ・マリーが、貴婦人としてもマザとしても、いかにも、って感じでとてもよかったです。
前院長とあと神父さまもいい感じでしたが、あの辺は賛助出演なんでしたっけ?
あと、伯爵役の岡さんがよかったです。
糸賀さんはここは不得意な音域なのかな、というところと、ここは得意なのかな、というのがちょっとわかりすぎかも(笑)
主役の木村さん、歌やシスタの演技や、後半の家に戻ったあとはとてもよかったのですが、冒頭のドレスを着ているときが、ちょっと伯爵令嬢っぽさが足りないと思いました。怯えてるにしてもねー。
やっぱり、伯爵令嬢としてくったくなく育ち、でも精神に暗い影を背負っていて、それがこの時代にだんだん表面化してくる、というのが必要かと思うのです。
山口さん小林さんはさすがに三年目、安定してました。
……他の方もよかったのですが、出番少なくてよかったと言い切るのがためらわれる、といったところです(笑)。
ちょっと気になったのは、ティエリーの能勢さん、いつもよりちょっと残念感がただよったような……でもこれもやっぱり、よくなかったと言い切るだけの材料もない(笑)
能勢さんはいつも良いなぁと感じているので、ちょっと期待するところが無意識に高くなってるのかも。
そして……、今日のオペラの一番だめなところは明らか。
字幕の位置です。
予算の都合(横に字幕置くほうが高い)でしょうが、舞台中央かなり上方に一カ所のみ設置。
このせいで、字幕と舞台が同時に観られません。
観ようとすると、視線の中央は何もない空間になり、上端にひっかかって見える字幕と下端にひっかかって見える役者の両方に意識を持っていかなくてはいけないという、かなりの高度技術を要求されます。
一二幕、明らかにそれで疲れたもん。
もう最後の方は、字幕は諦めて舞台だけ観てました。
そしたら楽になったけど、台詞はなんとなくしかわからない(フランス語なんで雰囲気のみで理解)。
そんな、S席の人ほど見にくかった疑惑。
まあ、Sでも4000円なんで贅沢言えませんが。
字幕のことと、ちょっと乾燥がひどかったことがなければ、8000円なら得したと思える内容でした。
字幕の件を差し引くと、6000円までかなあ。
音楽と演出が、文句なしによかったもんで。
あと、ドラマとして演技を観ても、ラストできちんと憤りと悲しみでじわっときたので、きちんと入りこめるだけの演技をしてくれてた証拠でしょう。
何気に、川西の涙腺って人と比べるともろくないらしいと最近よく舞台に行くようになって気づいたよ。
ただ。
研修公演ということを考えると、やっぱりこの演目はどうだったのかな、と思います。
3年目の研修生(修了間近)はメインを後輩にゆずった役になるのは例年ですが、いくらなんでもやっぱり出番なさすぎるんじゃなかろーか的な。
メイン役のカバー(何かあったときの代理)として3年目の人たちの名前がプログラムに掲載されてるので、実力ないんじゃないことはわかるけれど、ふつーに観てたら
「なんでこんな端役の人がカーテンコールで前面に?」
ときょとんとなること請け合い。
もう少し、出番が均一にある作品のほうがよかったんじゃないかなあ。
まあ、今の3年目は、アルバート・ヘリングでブラックユーモアのきいた現代劇、フィガロの結婚で古典喜劇、カルメルで宗教悲劇、と色々経験できてるはずなので、そういう観点からはいい演目なんでしょうけどねー。
うん、でも、よかったです。
ダブルキャストのはずなので、もう片方も観られるとよかったけど、明日は出勤につき無理なのでちと残念。